2014年3月3日月曜日

メダカの卵 その3

 メダカは産んだ卵を水草にくっつける。


一般的なのかどうかは分からないけど、
ウチのメダカはご飯を食べたら卵を産む。と言うくらい
大量の卵を産む。


水草は見る見るうちに卵でいっぱいになってしまった。


私はいつ産まれるかいつ産まれるか、と、楽しみで仕方がなかった。
これだけの卵が孵ったら、水槽の中は満員電車みたいに混雑してしまう。
私はいつかテレビで見た、鰯の群れの映像を思い出しながら、そんな心配をしていた。
とらぬ狸の皮算用ならぬ、孵らぬメダカの卵算用である。


しかし待てども待てども赤ちゃんメダカは生まれてこない。
水草についた卵は増えていく一方である。


一度だけ、 水槽の中を必死で泳ぐ赤ちゃんメダカの姿を見た気がした。
彼にとっては無限に広いであろう水槽の中を必死で泳いでいるその姿は、
とても勇ましくて、可愛らしかった。


ところが赤ちゃんメダカを見かけたのはその一度だけで、
さっきのやつがどこにも見当たらない。
さっきのは見間違いか気のせいだったのか、と思ったりもしたがとんでもなかった。


今にして思えば、食べられたのである。


そうなのだ。
あいつらは卵を産んで、孵ってきた自分たちの子供を
全部食べていたのである。
食べるために産んでいるようなものである。
とんでもないことであった。


卵救出作戦

メダカというのは共食いをするのである。
私が観察した限りでは、卵を食べるわけではないようである。
それよりも生まれてきた子供を、生まれたその瞬間に食べてしまうようである。


これからメダカを飼う。あるいはもう飼い始めている。という方に言っておきたいのだが、
メダカの卵を水槽に入れっぱなしにしておいてはいけない。


生まれた瞬間に食べられてしまうなんて、かわいそうな話である。


メダカが共食いすることを知った私は、すぐさま卵を救出することにした。
水草から卵を取り外し、別の容器に移し替えるのである。


実をいうと、卵救出作戦を実行するまでしばらくのあいだ、私は水槽の水の入れ替えをしていなかった。
卵が心配だからである。


水槽の水を入れ替えるには、一時的に卵が空気中に出てきてしまう。その時にどうにかなってしまうのではないか?それが心配だった。


そしてもう一つ、私が心配していたことがある。
赤ちゃんメダカのことである。


それまで私は、一度しか赤ちゃんメダカを目撃していなかった。しかもその事自体、もしかしたら幻だったのではないかと思っていたのだ。


つまり、実際の赤ちゃんメダカのサイズというものが分からないので、
目には見えないけれども、水槽の中にいるのではないか?
という疑いがあったのだ。ばかな話である。


しかし調べてみると、卵を別容器に移し替えるというのは一般的な事のようである。
当然だ。共食いをするのだから。
一体野生の状態では、彼らはどうやって子供時代を生き延びるのであろうか。


とにかく、卵移し替えの作業と同時に、ずっと気になっていた、水槽の水の入れ替え作業ができるのである。少しすっきりする。


この時私は生まれて初めて、メダカの卵を触り、 

その感触を味わったのだ。

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